フィナステリド服用と精子への影響!最新の研究と見解
フィナステリドは、AGA治療の代表的な内服薬ですが、その服用が精子にどのような影響を与えるのかについては、多くの研究が行われ、議論がなされています。一般的に、フィナステリドは5αリダクターゼⅡ型を阻害し、DHTの産生を抑制することで効果を発揮します。DHTは前立腺や精嚢の機能にも関与しているため、フィナステリドの服用が精液の量や質に影響を及ぼす可能性は理論的に考えられます。これまでの臨床研究や報告によると、フィナステリドを服用した一部の男性において、精液量の減少、精子濃度の低下、精子運動率の低下、精子形態異常の増加といった変化が見られたとされています。しかし、これらの変化は、多くの場合、統計的に有意ではあるものの、その程度は軽微であり、臨床的に不妊の原因となるほど大きな影響ではないという見解が一般的です。また、これらの精液所見の変化は、フィナステリドの服用を中止すれば、数ヶ月以内に元の状態に回復する可逆的なものであることが多いと報告されています。つまり、フィナステリドの服用が、永続的な男性不妊を引き起こすリスクは非常に低いと考えられています。ただし、もともと精液所見が不良である男性や、不妊治療中の男性がフィナステリドを服用する場合には、わずかな変化であっても妊活に影響を与える可能性が否定できないため、より慎重な判断が必要です。最新の研究では、フィナステリドが精子のDNAの質に影響を与える可能性を示唆するものも一部にはありますが、まだ結論は出ておらず、さらなる研究が求められています。重要なのは、フィナステリドの服用を検討している、あるいは服用中の男性で、妊活に不安がある場合は、必ず医師に相談し、個々の状況に応じた適切なアドバイスを受けることです。医師は、最新の研究動向や患者さんの状態を考慮し、最適な治療方針を提案してくれます。