AGA治療薬が原因で不妊に?休薬すれば回復するのか

投稿日2024年12月16日 投稿先 薄毛

AGA治療薬、特にフィナステリドやデュタステリドといった内服薬が、男性不妊の直接的な原因となるのか、そしてもし影響があった場合に休薬すれば回復するのかどうかは、多くの方が気にされる点です。まず、これらの薬剤が「永続的な不妊」を引き起こすという明確なエビデンスは、現時点では乏しいと考えられています。臨床試験や市販後調査において、一部の服用者で精液量の減少や精子濃度の低下、精子運動率の低下といった精液所見の悪化が報告されていますが、これらの変化は多くの場合、軽微であり、臨床的に明らかな不妊症と診断されるレベルにまで至るケースは稀です。そして最も重要な点は、これらの精液所見の変化は、薬剤の服用を中止すれば、通常は数ヶ月以内に元の状態に回復する「可逆的」なものであることが多いということです。つまり、薬の影響で一時的に精液の質が低下したとしても、薬をやめれば元に戻る可能性が高いのです。ただし、回復までにかかる期間には個人差があり、薬剤の種類によっても異なります。フィナステリドの場合は比較的速やかに回復する傾向がありますが、デュタステリドは半減期が長いため、回復までに半年以上かかることもあります。しかし、注意すべき点もあります。もともと精液所見が非常に悪い方や、他の不妊原因を抱えている方がこれらの薬剤を服用した場合、わずかな精液の質の低下であっても、妊娠の成立に影響を与えてしまう可能性は否定できません。また、ごく稀に、薬剤の服用中止後も精液所見の改善が見られない、あるいは回復に非常に長い時間を要するケースも報告されています(ポストフィナステリドシンドローム/ポストデュタステリドシンドロームとの関連も議論されていますが、詳細は不明な点が多いです)。したがって、AGA治療薬が原因で「絶対に不妊になる」とは言えませんが、「一時的に妊娠しにくくなる可能性はある」そして「多くは休薬により回復する」と理解しておくのが適切でしょう。妊活を考えている場合は、必ず医師に相談し、薬剤の継続や休薬について慎重に判断することが重要です。