AGA治療において、内服薬と共に「攻め」の治療を担うのが、「ミノキシジル」を配合した外用薬(塗り薬)です。発毛効果が科学的に証明されている一方で、ミノキシジル外用薬にも特有の副作用が存在します。内服薬とは異なるそのリスクを、正しく理解しておきましょう。ミノキシジル外用薬で最も多く報告されている副作用は、塗布した部分に起こる「皮膚症状」です。具体的には、「かゆみ」「赤み」「発疹」「フケ」「かぶれ」「痛み」といった、いわゆる接触皮膚炎です。これは、ミノキシジルの成分そのものや、製品の基剤として含まれているプロピレングリコールやアルコールなどが、肌に合わずに刺激となることで引き起こされます。症状が軽い場合は、使用を続けるうちに肌が慣れて治まることもありますが、かゆみや赤みが強い、あるいは長期間続く場合は、使用を中止し、医師や薬剤師に相談する必要があります。次に、多くの人が経験するのが「初期脱毛」です。これは、治療を開始して2週間から2ヶ月頃に、一時的に抜け毛が増える現象です。薬の作用によって乱れたヘアサイクルが正常化する過程で、休止期にあった古い髪が、新しく生えてくる強い髪に押し出されるために起こります。副作用ではありますが、治療が効いている証拠、「好転反応」と捉えられています。通常は1ヶ月から3ヶ月程度で収まりますが、精神的には辛い時期かもしれません。また、ミノキシジルは血管を拡張させる作用があるため、皮膚から吸収された成分が全身に影響を及ぼし、ごく稀に「全身性の副作用」を引き起こす可能性があります。具体的には、「頭痛」「めまい」「動悸」「胸の痛み」「手足のむくみ」「原因不明の体重増加」などです。これらの症状は、特に心臓や血圧に持病がある方で起こりやすいとされています。このような初期症状が現れた場合は、直ちに使用を中止し、医師の診察を受けてください。さらに、特に女性や、男性用の高濃度製品(5%以上)を使用した男性で見られることがあるのが「多毛症」です。頭皮から吸収されたミノキシジルが全身に作用し、腕や足、顔の産毛などが濃くなることがあります。これらの副作用のリスクを最小限に抑えるためには、定められた用法・用量(通常1日2回、1ml)を厳守することが何よりも重要です。
ミノキシジル外用薬(塗り薬)の副作用。頭皮トラブルと初期脱毛